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2010年8月 7日 (土)

車両の「匂い」

リクエストがあってからずいぶんと時間が経ってしまったけれども、今回は「列車の匂い」ということを書いてみたいと思う。

もちろん、匂いである以上、写真には写らないわけで、今回の場合、写真はほんのお飾りである。(最初に若かりし日の筆者が車内で軽く飲んでいる様子など)

Photo_4

*清掃・車内美化にかかわる匂い*

国鉄のころ、僕らは匂いに対して、ある種の概念のようなものを持っていた。
それは「関東のクルマは食べ物のにおいがする」というようなものだった。

国鉄はよほどの目的や事情が無い限り、地方にいきなり新車を入れるということは少なく、まず、本社のお膝元である関東に新車を入れ、玉突き式にそこからあまった車両を地方に回すという手法をとっていた。
だから、明らかにその地方用に投入される117系やキハ66など以外、113系115系、103系などの通勤電車はもとより485系、キハ80系といったような優等車両までもが地方に回るのはたいていが「中央のお古」だった。

これら車両は当然、関東においてもきちんとした整備や清掃を行っているはずであり、日常の検査もできているはずだから、その車両が移動し、到着すれば地方では即それを使えるはずだ。
もちろん、実際に使っていたのだが、利用者や現場の職員などに結構毛嫌いされることも無いとはいえなかった。

それは整備、清掃が行き届かず、酷使で痛んだ車両は誰の目にも中古車然としていて、清潔感と程遠かったその雰囲気が、利用者や職員に嫌われたのである。

例えば、外板の痛み・・腐食し腐った部分にブリキを宛がい、この上からパテで塗りこめてあったり、ろくに拭き掃除もしない車両の化粧版がタバコの脂がこびりついて取れなくなっていたり・・ゴムが劣化したままの床が気持ちの悪い様相を呈していたり・・

それらの中で、ダイレクトに嫌われたのが「匂い」だった。

特急・急行などの車両で食べ物の匂いが沁みつくのはある意味当然で、これは普段、車庫などで清掃するのだけれども、例えば暖房機のカバーの中や配管の奥、座席の隙間に落ちた食べかすなどはその部分を分解しないと清掃は完全にできない。
これらが、つもり積もって「匂い」の元になる。

関西でも優等車両であればあるほど、こういった部分の清掃が行き届かない面は確かにあったけれども、例えば「卵の腐ったような匂い」などは、滅多に感じることがなかった。

これは当時の(今はかなり変化しているので今の姿ではない)車内における乗客の行動が関東と関西では異なるということにも影響されていたように感じる。

一度、夕方の常磐線中距離電車に乗車したときのこと、車内で乗客が酒盛りを始めたのには驚いた。
関西の113系と関東の401系とではそのつくりも似ていたが、関西では菓子程度のものを食べたり、コップ酒や缶ビールを飲むことはあっても、おおっぴらに酒盛りをするなどということはまず、見られない光景だった。

駅の売店でもゆで卵など、もちろん、大阪駅の売店にもそれはあったのだけれど、たくさんぶら下げられたそれを買う人が多いことにも驚いた。

関東の乗客の移動距離、移動時間は関西のそれとは比較にならないかもしれない。
それが車内にいる時間の無聊を慰める・・あるいは時間を少しでも有効に使うということにつながり、車内で飲食をするその頻度や規模の差に出るのだろうかとも考えたことがある。

485_2 だが、いかに乗客が飲食をしようとて、列車の清掃をきちんとすれば、不快感は残らず、匂いもきつくは無い。
結局は、さきの工場での手抜きのように、車庫においても清掃が行き届かなかったのだろうか。
それだけ、忙しかったということになるのだろうか。

車両の匂いとは食べ物の匂いだけが主要因では無いだろう。

*車両の構造上、運用上の匂い*

国鉄は車内清掃時、座席や人の手に触れる清掃の際に、ガソリンを使っていた。
座席などはガソリンをたわしにつけて、それでこするのだ。
あるいは、窓框、座席枠、手すり・・
こういったところには雑巾にガソリンをしみこませて、これでふきとる。

このガソリンを使ったのが、高砂だけだったのか、それとも全国の工場や車庫でなのか、そのあたりは良くわからない。
今のような上質の洗剤や除菌クリーナーなどが無い時代、揮発性の高いガソリンは、清掃にもってこいだったのかもしれない。

工場での仕上げ作業にアルミデコラ、飾り面などを清掃するときは、シンナーを使う。
工場ではこのためにシンナーの一斗缶を大量に使用するのであり、僕ら上回り作業者は、塗装作業者などと同様に、有機溶剤の耐性を検査されていたものだ。
オユ10の冷房改造の際、僕は締め切った車掌室で、このシンナーを大量に吸い込ん目が回ってしまい、まるで酒酔いのような状態になっていたところを上司に発見され、即刻入浴と休憩を命じられたこともあった。

ガソリンやシンナーなどの清掃時に使う揮発性薬品のみならず、改造や修理作業でも有機溶剤は大量に使う。
鉄骨の下地を整える板ゴムやハードボードの取り付けには強力な接着剤を使ったが、これも匂いが強烈だった。
それに板ゴムやハードボードの匂いもある。
ハードボードは鉄骨に貼り付けてから、カンナで削って形を整えるのだが、削ることで匂いがでる。
ゴムはゴムでそれ自体が匂いを持っている。

床のリノニュームやロンテックスにも、ゴム系の匂いが漂う。

アルミデコラに匂いは無いが、これら薬品や素材に匂いがあり、いわば有機溶剤系とゴム系の匂いが入り混じり、さらにその上に清掃時の有機溶剤の匂いが加わったのが、新車や大規模改造工事の出来立ての車両の匂いだといえるだろう。

けれど、これらの香りは決して嫌なものではない。
中にはこれらの香りが苦手な方もおられるが、少なくとも不潔感を思わせるようなものでは無いだろう。

このほかにも、例えばドアエンジンなどのオイルの匂い、冷房ダクトを通過した空気の匂い・・これらも列車内部の匂いの要因のひとつだろう。

しかし、不快感、不潔感を覚える匂いの主要因はやはり食べ物、それにタバコ、そして、埃などだろう。
冬場にこれら不快な匂いがきついのは、食べ物のカスやタバコの灰、埃などが暖房装置で加熱され、その匂いが強調されるからかもしれない。

けれども、通勤電車の座席下のゴミや埃なら日常の清掃でとることはできても、暖房機カバーの中や蒸気暖房引き通し菅の奥にたまったものなどは、工場でそれらを分解しないと清掃ができない。
そして、冷暖房完備の特急車などの場合、そういったところにゴキブリ(なぜか特急列車内のゴキブリは小型で、生命力が強いものばかりだった)やダニが発生し、これらの屍骸の匂いもまた車内には漂っていたのだろうか。

もうひとつ、古い車両、特に客車では蒸気機関車の煤などがたまっていて、これが匂いの元になっていることもある。

Photo 他にも、旧型客車では接着剤などはほとんど使用されておらず、代わりに防腐剤やカシューといった木材に塗布するものの匂い、天井などのペンキの匂い、それに屋根などのコールタールの匂い・・これらが匂いの主役だろうか。
もちろん、乾燥すれば匂いは自然と収まってくるし、不快なものではない。
そして木材の本来の匂いというより、香りだろうか・・

旧型客車のあの郷愁にも似た香りは、新型車両の有機溶剤やゴムが主体の匂いとは異なり、人間が郷愁を覚える自然にあるもので成り立っていることもまた・・
人によってはこれら旧型車両をこよなく愛する要因の一つなのかもしれない。

そして、これにタバコや煤、旅客の体臭・・
床に引いた油の香り・・

旧型客車はあくまでも人間の乗る車両なのだろう。

油といえば・・

Photo_2 気動車のあの油の匂い・・
これまた不思議に人の心を和ませるものだんだなぁ・・と遠い昔に思いをはせるのだが・・・

Photo_3 それと同時に、関西私鉄の清潔感に満ちた車内を思うとき、なるほど、接客ということに関しては国鉄と私鉄でこれだけの差があるのだと妙に納得もする。

画像は阪急8000系のクロスシート車内だが、阪急車内で不潔感のある匂いに出会ったことは無い。
これは他の私鉄も同様で、「清潔な電車」をキャッチフレーズにしていた京阪や、涼しげな緑、青系のカラーで車内を統一していた阪神も、その車内は国鉄では滅多にお目にかかれない清潔さだったと書けば・・
国鉄ファン諸氏のお怒りを買うだろうか。

なお、本記事は国鉄時代の筆者が知る状況について書いたもので、現在のJRのことを書いた記事ではなく、JR各社は車内の清潔保持に努力していると筆者も信じていることを最後に確認しておきます。

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コメント

今晩は

今までアジアの幾つかの国の2等車(普通車)に乗りましたが匂いに関しても日本が最高です。
常磐線近郊電車も含めて。

しかし、「列車の匂い」なる特集は鉄道専門誌も
あまり取り上げませんね。
続編に期待!

関東の乗客は酒盛り!うーむ、昔の東北線夜行列車なら思いあたるけど…。ツマミでワンカップ程度ならよく見ました。あっ、だから最近は中電もロングシートにしちゃうのかと変な納得もしたりします。
ガソリン拭きですか。やや揮発成分を含んだチョイ臭さ、でも人の鼻故にじきに感じなくなってしまって、臭くて困った一夜などは記憶にありません。
新幹線に禁煙車が導入された頃、喫煙車は煙草が他の臭いに勝っていて何とも感じなかったのに対して、禁煙車は体臭や人息れの混じった何とも嫌な臭いをかえって感じました。喰いかす臭も混じっているとは説得力ありますね。
関東の通勤時間の長さはご指摘の通りで、片道1時間ならマシな方です。余談ですが、大昔、「私の秘密」と云う番組で当時の長距離通勤者が出た事がありました。和歌山の自宅から伊勢の勤務先迄、毎日南海と近鉄で往復との事でした。

うーん。。
いつ頃の話なのかわかりませんが、個人的には関東で
食べ物の臭いが染みついてる車両ってのには当たった
記憶はないですね。昭和50年代以降の話ですが。
RJ誌の急行鳥海ルポなどでは、車内酒盛りの話とかも
見かけました。線区によっても違うのかも知れません。
臭いで言えば昔はタバコの臭いが本当に気になりました。
今は東日本エリアでは全車禁煙ですが、それでも元喫煙車
には臭いが染みついてたりして驚きます。
国鉄末期は車両の整備が行き届かなかったのか、
車両の内装が変色してたり、パンタの擦りカスが
妻面にこびりついてたり、外板がボコボコだったりして
残念な状態だったのは同感です。

その点JRの最近の車両はきれいですが、逆に車両
そのものの風情は薄れてるような気がします。

あまり大声では言えませんが、阪神・阪急以外の在神私鉄・地下鉄では、嫌な匂いに閉口した経験が数回有ります。その為だけに運用を外せないのは仕方ないなと思いながら、今時市販の消臭除菌剤でも使えないものか?と思ったものです。
ちなみに、印象に残った香りは、別府鉄道土山線の客車の床の油の香りです。昔は他でも木貼りの床に油をひいたりしていたのでしょうか?(余談ですが、神戸市では学校の床に油をひくのですが、他では無いらしいですね。)
JRも昔に比べて‘列車’感を感じないと思ったら、灰皿では無いでしょうか?煙草を吸わないからかその匂いには鈍感なのですが、窓際に付いた灰皿に汽車の雰囲気を感じていたように思います。


とても興味深く、且つ、楽しく読ませてもらいました。ありがとうございます。国鉄車。たしかに、揮発系かも・・・僕は、国鉄の車内のにおいが大好きでした。こうさんの若かりし頃の写真と最新の時刻表を肴に、ちょっと高いビールを飲んでいます。子供の頃親父に連れて行ってもらった姫新因美線廻りの急行みささをなぜか思い出します。物見トンネルでの排ガスには閉口しましたが・・・

ところで、僕も含めて、周りの友人何人かは、阪急電車はレモンのにおいがする。特に、京都線の車両は、濃い。と言います。どうですか?

夏の暑い盛りに乗った非冷房の旧型客車の車内の匂いは油の匂いや窓から入ってくる空気、それらが扇風機でかき回されて「帰ってきた!」という思いをこみ上げさせるものでしたが、最近は(うまく表現できないのですが)「劣化した空調設備の匂い」なのでしょうか?。カビ臭い湿っけたような匂いがJR、私鉄問わず漂っているのが夏の鉄道の匂いのような気がしています。特に製造後10年以上経過している車両で顕著なような気がします。私はこれが苦手です。これは阪急でも例外ではなく、梅田で2300系に乗り込んだらことに匂いが強く感じられ、老躯に鞭打って頑張る車両に失礼でしたが、次の列車を待つことにしたことがあります。窓開けの機会が減って、空気の入れ替わりが悪いのが原因なのでしょうか・・・。

匂いと言えば、普段よく利用する通勤、近郊形の車両より特急等の優等列車の方が意外と匂っていた記憶があります。(国鉄時代、JR共に)
なので”匂い”=旅行のイメージがあるような気もcoldsweats01
ちなみに私鉄を利用する機会は滅多ありませんが、確かに匂いを意識したことはないですね。
そして一番好きだったのはkouさんも書かれている気動車の匂い。幼少の頃より山陰地方の両親の故郷に帰省する度に嗅いでいたせいもあって特に郷愁を感じる匂いですhappy01

みそ大福さん>

日本の列車が清潔だというのはもしかしたら幻想だったのかもしれませんね。

あづまもぐらさん>

以前、神戸から大阪への通勤をしていました。
関東の方から比べれば「近くじゃん」って思われるでしょうが・・
それでも僕にはしんどかったし、職場で一番遠方からの通勤でした。
この辺りの感覚が関東と関西の違いかもしれないですね。

あああさん>

誤解を招くような書き方で申し訳ありません。
ただ、当時の特急列車など、少し臭いのきつい車両があったのは確かで、その数は少なかったと思うのですが、その経験がかようなイメージにつながっていたのかもしれません。

国鉄時代、車両の整備状態が良くないこと・・多々ありました。

坂本賢介さん>

国鉄も一部の客車などでは床の油引き、していました。
ただ、リノリュームを張り詰めたクルマが増えていたのであまり感じなかったかもしれません。

国鉄末期には24系などでも床のワックスがけしていましたよ。

別府鉄道のハフ7・・いい香りの車両でしたね。

灰皿の無くなった車内は・・確かに庶民の香りが一つ減ったような感じがします。

丘オフローダーさん>

阪急の車両には独特の清潔感がありますね。
そういえばレモン系かな。
数日前も7000系更新車に乗り、実感しました。

ふそうやましろいせひゅうがさん>

阪急2300系のクーラーは6300系より新しく、空調装置の臭いではないと思うのです。
国鉄でもよくありますが、長い期間、車庫にとどめ置くと独特の臭いが出るようです。
内装材と外板の間にある断熱材が劣化したり、座席生地のラテックススポンジが劣化したりした臭いではないでしょうか。
不思議に、この臭いはしばらく運用すると消えるようです。

鉄路さん>

気道車の臭い・・香りとでもいいましょうか・・
いいですよね。
出来ればキハ20、せめてキハ58のあの香りをもう一度味わいたいです。

確かに長距離列車ほど、匂いが漂うこと・・ありますね。

はじめまして。

阪急電車だけは独特の香料のようなにおいがしますね。阪神は無臭かクーラーの時期は少し汗臭いというかかび臭いおいうか微妙な匂い。JRは車内はきれいですが匂いは少しオイルくさいような匂いがします。どれも通勤通学で使っていましたが、阪急の匂いはよく話題に上がりました。今は東京在住ですが東西線の混雑時の匂いが評判わるいです、

neokotaさん>

いらっしゃいませ。
お返事が遅くなり申し訳ないです。

阪急の車内、匂いも含め全体が一種独特な雰囲気にあふれていますね。
凛とした清潔感というか。。

東京の東西線ですか。
速い路線という印象があります。
においには気がつかなかったです。
もっとも、混雑時に乗車しなかったからでしょうが。

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