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2009年10月 1日 (木)

改めて赤字ローカル線問題

Photo 日本航空の経営再建問題がここのところ、毎日のように報道されている。
赤字が分かっていながら建設される地方空港、その空港への乗り入れを半ば強制されたことも日本航空の大きな赤字を生んだひとつの要因であることは否定出来ないだろう。
元来は千歳、羽田、伊丹、板付といった基幹空港を結ぶ幹線航空路と、独占状態の国際航空路のみを運行して来た会社だが、航空自由化の波に押され、他社が国際線に進出する一方で日本航空は国内の地方都市を結ぶ路線にも進出、これの度が過ぎた事・・ここに大きな落とし穴があったということか。

この問題を聞いていると、何やら国鉄の赤字の問題を連想してしまうのは僕だけではあるまい。

明治時代に鉄道が国有化されたとき、国鉄は「幹線鉄道」を担い、民鉄は「地方路線」を担うのが方針だったはずで、このとおりに進んでいけば国鉄は赤字に転落などしなかっただろうと思う。
ところが、我田引水ならぬ我田引鉄の時代がやってくる。
代議士たちは己の力を地元に見せ付けるために民間鉄道が建設しようとしなかった路線までも次々と国鉄に建設させていく。
(ちなみに現代では我田引空・もしくは我田引道か)

それでも、国鉄全体がまだ元気で、モータリゼーションの姿などまだなかった時代なら、辻褄は合うものだ。
昭和30年代になると日本の自動車産業は急成長を遂げ、自家用車があふれるようになってくる。
道路整備の進歩とともに自前で線路を有さなくてもよい路線バスも発達する。

結果として経営基盤の脆弱な地方路線から鉄道としての使命を終えたような閑散路線が出現することになる。

昭和39年。
新幹線開業というエポックメーキングなこの年、国鉄は赤字に転落する。

国鉄の赤字は確かに国鉄自体の放漫経営によるところも大きいが、本質的には政治的に押し付けられた植民地鉄道職員への年金、恩給など、あるいは高度経済成長を支えるための莫大な設備投資などの国鉄自体には責任がない部分が大きな割合を占めている。

それはともかく、新幹線開業と国鉄の赤字転落とが同じ年であったことに、僕としては深い感慨を抱いている。

さすがに当時も国鉄の赤字は大問題だったらしく、昭和43年、国鉄諮問委員会は国鉄に鉄道としての使命を終了した赤字83路線を明示し、この営業を終えるように提言している。
この、昭和43年と言う年は、国鉄が近代的な幹線鉄道に脱皮するための白紙ダイヤ改正を行った年であり、全国で特急・急行の大増発が行われたこともまた・・なにやら因縁めいたものを感じる。

さて、赤字83路線を見てみると、このときに廃止されたのは福島の川俣線や徳島の鍛冶屋原線、兵庫の篠山線など、区間廃止の札沼線・唐津線を含め12線区で、他の線区はその後も生き延びていく。
いや、それどころか、白糠線、大隈線(当時は古江線)、三江線のように、まるで傷口を広げるかのような路線の延長工事がなされた線区もある。
(江差線、参宮線、日南線あたりが入っていることにも意外な感じがする)

Photo_2 中には後の情勢の変化や工事による残区間の完成で持ち直した路線もあるが、過半は国鉄改革の際の特定地方交通線として指定され、せっかくの新線区間も長く使われず、廃棄されてしまったり、可部線などは赤字83線区指定後も工事を続け、区間延長し、さらにその先へ工事を進め・・その工事は巨大な廃墟を残したまま中断され、指定当時の非電化区間も結局はJRによって廃止されてしまっている。
利用者も国鉄も政治屋に翻弄されているような印象を受ける。

これらローカル線の維持運営はもちろん、建設費にいたるまで国鉄がその負債として抱えたわけであり、国家というものはいつの時代も交通事業者に多大な負担を与えるものであると・・今回の日航問題を見てもそのように思う。

なぜに、赤字と分かっている路線を建設させたのか。
莫大な資金をつぎ込んで建設させた代議士たちこそ、国鉄赤字の真犯人であり、なぜに彼らをマスコミや世論は糾弾しないのか。
Photo_3 日航の赤字にしても、無理やりに地方空港・・僕の大嫌いな神戸空港や静岡空港などといった無意味なものを次々と作らせ、結果として当然のことながら航空会社や空港運営事業体に巨額な赤字を生み出させた政治屋の責任はなぜ問われないのか・・

鉄道建設公団が工事をしていた路線も国鉄改革でいったん白紙に戻された。
必要性の高いものはやがて第3セクターによって運営することで工事が再開され、智頭急行や北越急行、愛知環状鉄道のような幹線鉄道も開業している。
ただ、このうち、北越急行に関してはせっかくの高規格路線も、やがて開業する北陸新幹線にとって変られ、そのあとはローカル線化せざるを得ない未来が待っている。
智頭急行にしても高速道路無料化が実現するとその経営は今のように安泰とは言えないだろう。
鉄道は国家の阿呆政治屋によって弄ばれている感すらある。

自らの票欲しさ、人気取りだけの政治屋は何党であれ不要である。
国鉄にしろ、日航にしろ、赤字を生み出させた政治屋たちの責任を問い、場合によっては財産を没収してでも穴埋めさせるようなルールを作らないといつまで経っても形を変えて、国鉄の赤字ローカル線問題は生まれ続けると僕には見えて仕方がない。

なお、ローカル線は利用者(特に交通弱者)にとってはなくてはならぬものであり、作った以上、簡単に廃止などできないのはモノの道理である。

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コメント

属性からして仕方がないのかもしれませんが、鉄道擁護は無駄でしょうね。地方は駅などと無関係に街が作られていますから街外れの駅まで行く人は限られています。こういう問題を考慮せず高速無料化との関連でしか話せないのは知識不足と言われても仕方がありません。

とりごんさん>

何の話ですか?
文章をきちんと読んでいただいていますか?
ローカル線問題は高速無料化とは全く違うレベルの話で、本文中に出ているのは幹線鉄道としての智頭急行の事例だけです。

 いつも楽しく拝見しています。
公共事業の展開は難しいですね。公共事業しか頼り先の無い地方の建設会社も多く、ムダな公共事業も必要なのかもしれません。しかし、無秩序に開業した鉄道、高速道路、空港の多くは赤字になり、やがて国民につけが回ってくるのです。政治というものはあちら立てればこちら立たずと難しいですね。
 ところで、ローカル線の利用ですが、私の場合、出張でも旅行でも飛行機利用が多く、最近では神戸から東京でも飛行機を使うケースが多いです。離陸時間までラウンジでくつろぎ、笑顔のスチュワーデスに迎えられ、到着先からレンタカーで向かえば非常に時間が有効に活用できます。そういった状況でローカル線には全く縁が無くなってしまいました。
 環境にやさしい鉄道を見直そうといっても掛け声ばかりで、総合的な交通政策が急務です。

>>環境にやさしい鉄道を見直そうといっても掛け声ばかりで、総合的な交通政策が急務です。
↑↑
同感ですねぇ~。
『鉄』としては一抹の寂しさを拭いきれませんが、感傷とは別の次元で陸海空それぞれの特性を活かした総合交通政策を早期に作り上げ、かつ実行していくことが肝要ですね。CO2削減目標も引き上げたことだし、スローガンだけなら自民党政権時代と変わり映えしませんから・・。~。

L急行鷲羽さん>

こんにちわ。

ローカル線を出張などに活用する事などは殆どないと思うのですよ。

亜幹線であれば特急列車もありましょうからいろいろな所用でその方面に出かけると使うこともあるでしょうし、高速道路の影響も大きいと思うのです。

たとえば、土讃線、山陰線、日豊線、石北線、磐越西線などですね。

しかし、本気でCO2削減を目指すなら鉄道を活用しないはずはなく、こういった意味で僕は現政権にも深く失望しています。

ユースケさん>

このままでは自民党の方がマシということにもなりかねませんね。
本気で環境問題を考えるなら、欧州に学ぶべきであり、米国に学ぶべきではないと思うのです。

赤字ローカル線問題は鉄道対道路でなく公共交通対自家用車と視点を変える必要が有ります。鉄道でもバスでも赤字線の背後には必ず自家用車の圧迫が有ります。確かに自家用車は便利で、とりごんさんではないですがトップシェアをとるのも当然と思われます。が、その利便性が今後も持続可能かは疑問です。
・事故死者数、千人を切る安全性が確保出来ていない。
・CO2排出量でも技術革新してもバスに集約する方が有利になるのは議論の余地が無い。
・燃料消費量もしかりで化石燃料の枯渇を早める。
・自家用車で増えた分 の道路用地は固定資産税が入らず国家財政にも負担に。
自家用車の削減が実現すれば渋滞も解消でき上記全てがさらに改善される。それだけに自家用車の利便性をそろそろ手放す覚悟が必要かもしれません。

坂本賢介さん>

時代で言えば昭和40年代前半・・
そのころ、僕は何の不便もなく生活していました。

人類が生き延びるにはその程度の利便性がちょうどよかったのではないかと思うことがあります。

はじめまして、こんにちは。
文章読ませて頂きました。赤字ローカル線の問題は、私も非常に興味のある問題です。
今まで政治主導で、それに国民が乗っかるような形の交通政策が取られてきたために、このような結果になったのだと思います。
これからは、生活実態や利用実態、採算性などを考慮して公共交通の選択と集中を図っていくべでしょう。運営する企業と利用する住民が話し合って最適の公共交通の形を考えていくのがいいでしょう。そして今まで主導してきた政治はそれをサポートする立場に回ればいいのです。

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